傷と解釈

 

1. ある種の加害が事後に救済になり、ある種の救済が事後に加害になることがある。

 

2. 体験された生は傷としてはじめて認識される。体験しているときには曖昧にしか認識できない。それは後になって解釈される。

 

3. とすれば、傷についての再解釈が可能である。「It was(それはかつてあった)」から「I wanted it(わたしはそれを欲した)」につくりかえることができる。ニーチェはこれを唯一の救済と呼ぶ。

 

4. 人間には未来を変える力だけではなく、過去を変える力がある。「古いものとの新たな関係」(フェティ・ベンスラマ)

 

5. 過去における潜在力それ自体を、現在において生み出すことができる。「君がもし、すべてに失敗したとしても、けっして無駄にはならないよ。君のようなひとがそこで試みたということを、誰も見ていなかったとしても、どこにも残らなかったとしても、それでも、君が人間であるかぎり、人間にはそれを試みることが可能であったということは確実に証明されたのだから。君の試みは、人間の勇気の新しい証明になったわけだ」。

 

6.「何もかもやってみたわけじゃない」(ベケット)。未来が不確定であるということは、絶望的な状況においてはむしろ希望である。

 

余談。こうして箇条書きでしか書けなくなってしまったらどうしよう。文を構成する力が弱くなっている。