2022-09-16から1日間の記事一覧

記憶の索引

窓の外に流れる小川は春の日差しを不規則に反射していた。冷たい手を握っていた。既視感のあるありきたりなドラマのようで、ただ事実だけが新鮮だった。

ある日、母親に送ったLINE

長く俯き疫病を恐れながら読んでいた。行きには数ページほどしか読めなかったドイツ文学史が、気づけばもう近世にさしかかっている。どこか、なにかがおかしい。渋滞でもする道ではない。電光表示には一六分で錦糸町駅に着くと書いてあった筈だ。しかし、予…

傷と解釈

1. ある種の加害が事後に救済になり、ある種の救済が事後に加害になることがある。 2. 体験された生は傷としてはじめて認識される。体験しているときには曖昧にしか認識できない。それは後になって解釈される。 3. とすれば、傷についての再解釈が可能である…