無題

海がわたしたちをその額で固めてから、海の眼で、内臓を、微かに、揺する。その黒く空を穿つふたつの存在は、まだ、距離をとったまま、浮かんでいる。かたちがなくなるまでのみじかいあいだの、星々に似た、空気の肌触りの留め金。