コミュニケーションと暴力
コミュニケーションには暴力がともなう。
なぜなら言葉はつねに命令を含んでいるから。
A「雨が降ってきたね」
B「え、うそ、洗濯物取り込まなきゃ」
この場合、BはAの発言に「とりこめ」という命令を読み取る。
A「雨が降ってきたね」
B「え、降ってないじゃん、嘘つき」
この場合にはBはAの発言に「外を見ろ」あるいは「上を見上げろ」という命令を読み取る。
A「雨が降ってきたね」
B「そうだねえ、そろそろ梅雨だねえ」
この場合、BはAの発言に「応答せよ」という命令を読み取る。
どのような言葉を発するとしても、言葉は必ず相手に応答を求める。そして、相手の時間を奪い、相手を拘束する。たとえ相手がそれを無視しようとしても、「無視しよう」という意図を働かせることになる。
コミュニケーションとは相手の人生に傷をつけることである。