Aphorism for Nietzsche 1
01
世界がわれわれに与える救い。まだ救うべきものがあるということ。
02
ニーチェのうちで。多くのことが完結し、あらゆることが未完となった。
03
世界の美しさを歌うとき、彼らはイメージを天に掲げたか? 否、もし仮にそう見えたとしても、実際にはただこの大地の意義を知っただけだ。唯物論者たちの宴にわれわれは加わったのだ。
04
誰もみていない世界。とはいえ、わたしはわたしの中で完結することもある。わたしの信仰の如何に関わらず。
05
ニーチェは世界を愛した、否、自分の運命を。人格的な摂理。最高の音楽を奏でるとき、ニーチェが要請する、誘惑に対する抵抗や慎みは、ニーチェ自身によって取り下げられてしまう。
06
わたしたちはニーチェを読まないでいられるほど健康なのか。
07
ニーチェを読むにはまず自分が特別であると思わねば。
08
あらゆる矛盾を捨て去ることができるのは大衆を前にしてだけである。各個人はいまだなお無限の矛盾に満ちており、ある一つの人格に納得してはいない。もちろん、大衆からの眼差しを肌身離さず着て歩く者もいるのだが。われわれはその矛盾の中から、制度に見合わないものを見出しては、仕舞い込もうとする。いつになったら、肝の座った人間、矛盾を誇りとする種が起こるだろうか。彼らの擡頭は今日明日のことではないが、遠い未来でもない。それはかつてあって、今も続いている––––地下室で。
09
全ての目がわたしを見る。わたしは全ての目に届けられる光ではない。わたしは全ての目の「盲信」を知っている。真理は全て人間的であり、ゆえに誤謬であることを。目は真理に釘付けにされている。目は真理だけを見る。われわれはもう見てはならない聴きとらねばならない。これからくる真理を。だからわたしはわたしを見る目に対して夜であろう。陽はわたしの彼方から。
10
わたしの目標は遠い。わたしにとってはどうでもよいくらいに。わたしにとって取るに足らぬ事柄が、もっとも遠い未来には全てに関わるなら?