現実主義批判

ふだんいわれる意味での現実主義とは、じつのところ固定された時間を準拠とする近過去主義であり、ほんとうの「現実」を重んじる立場ではない。ほんとうの現実主義は、変化する現在の生成を重視する。だがそれでもまだ十分ではない。現実主義のエピクロス的快楽に浸るだけでは。それで終われば、近過去主義も現実主義も、結局のところ、現状追認でしかなくなる。認識において十分に現実主義でありながら、なお、行為においては未来主義であること。下劣な人間どもの下劣さを改め、現実の悲惨を救うには、それしかない。